認知行動療法を学んでおきましょう

● 認知行動療法とは

認知行動療法は、うつ病やもえつき症候群などのメンタル不全の治療法の一つです。認知行動療法は必要以上に自分を追い込んでしまう思考パターンの修正プログラムでもあります。考え方を少し変えることで「生きやすい考え方」を身に着けます。
認知行動療法では、認知行動療法とは何か、メンタル不全とは何かと調べ学び、正しい知識を身に着けることそのものも治療になるという考え方をしています。そのため、まだうつ病やもえつき症候群にかかっていない予備軍の人に対しても予防の効果があり、大変有用な治療法です。
一度この考え方を身につければ、自転車に乗るのと同じように、いつでも思考法を利用できるようになります。そのため二度とメンタル不全に陥らないようにするための治療法でもあります。

● コラム法とは

認知行動療法は、専門科医との対話の中から学ぶこともありますが、専門書籍を読むことや自分自身の行動や思考について振り返ること、同様の悩みを抱える人とディスカッション等、様々な形があります。
その中の一つ、自分でいつでもできる認知行動療法として「コラム法」があります。これは自分の思考の軌跡を振り返り、他の考え方はないか、違う受け取り方があるのではないかと分析する方法です。
分析の視点の数でそれぞれ、「3コラム法」や「6コラム法」等言われています。
Webサイトでコラム法と検索すると、簡単に見つけることができます。自分のあった分析方法を見つけて、ダウンロードしておきましょう。
このコラム法を試すときは、「今日はすごく嫌な出来事があった」「もう我慢できない」というような出来事があった時です。一度だけでなく、1年を通して定期的に困ったことがあった時試してみましょう。何度もやっていくうちにノートに書かなくても自分の思考パターンに気づくことができるようになり、心のバランスを取ることができるようになってきます。

★ 認知行動療法とは
⇒ http://www.stress-coping.com/ninchi.html

● 出来事を具体的に書きだす

今日起きたことで我慢できないと感じたことやむっとしたことがあったら、その出来事を「いつ・どこで・だれが・何をした・言われた」ということに関してできるだけ具体的に書きだします。
次に以下の質問に沿って自分の心の中にパッと浮かんできたことば「自動思考」(以下自動思考と表記)を書き出していきます。さらにコラム法によって多方面から違う考え方はないかなどに関して考えていきます。

● 3コラム法とは

3コラム法はもっとも単純で短時間でできるコラム法です。
初めに出来事に対してぱっと思い浮かんだ自分の自動思考について書き出します。「やり方がわからなかった」「その時はとても体がつらかった」などです。次に認知のゆがみのどのタイプに当たるか分析します。(これは難しいので専門書で学んで分類します)。「感情の決めつけがあったのではないか」「~すべきという考えが強すぎたのでは」といったとらえ方です。
最後に自分の自動思考の反対、あるいはほかの考え方はないだろうか。合理的な考え方はないだろうかと振り返ります。自分の自動思考に反論してみます。

● 6コラム法とは

6コラム方は、3コラム法をさらに細かく分類したものです。
「日時、出来事を具体的に」「その時の感情を数値に表わす(100のうちいくつ)」「自動思考(いやな考え)」「認知のゆがみ」「合理的思考や反論、代わりの考え」といった項目で書き出します。
6コラム法のいいところは直感的のその時の感情の強さを数値で表すことです。例えば事件直後の感情が「焦り80・不安90」であったとすると、一日たってもう一度自分の出来事を振り返った時の感情が「焦り20・不安30」ほどに減っていることに気づきます。
その時はどうにもならないと感じていた大きな事件も、冷静になって後で考えると自分で飲み込み解決できそうな課題に変わっているということもよくあります。そういった感情の波を数字としてとらえることができます。

★ 各コラム方ダウンロードの例
ご自分で取り組みやすいものを探してみてください
⇒ http://psychotoolbox.web.fc2.com/CBT/tool.html

● コラム法はずっと続けるほどいい

もえつき症候群やうつ病になってしまう人の多くは、実に責任感が強くやる気にあふれ、夢と希望に燃えた素晴らしい人たちです。ちょっと自分を追い込みすぎ、頑張りすぎたことでメンタル不全になってしまっただけです。
そして、そのメンタル不全になるまで追い込んでしまったのは、自分の知らないうちに心の中で話している「自動思考」が少し歪んでしまっていたことにあります。
行き過ぎた責任感は毒にもなります。この辺の自動思考を冷静に自分と切り離して分析することができれば、必要以上に自分を自分で苦しめるような行動には走らなくなります。自動車の運転だってアクセルばかりは踏んでいません。ちょっと曲がり角に入る前にぐっとブレーキを踏み込みます。
認知行動療法を学んでいくうちに、そういった自分の心の分析を通して心のコントロールをしやすくなります。

● できれば専門科を受診してほしい

認知行動療法では、グループディスカッションもあります。リワークプログラムでも取り入れられています。これをぜひ体験してほしいと思います。おなじメンタル不全や職場の悩みを持つ他人を通して、自分の在り方を冷静に見つめることができます。
最近ではe-ラーニングや放送大学、ネットでも学ぶことができます。ぜひ興味を引く本がありましたら一冊購入してよみつくしてみてください。一冊読み切っただけでも、目からうろこが落ちるような気持ちがしますし、同じ職場環境でも昨日よりも生きやすく感じることができるはずです。

● 人間関係にも使えます

看護師の悩みの一つとして人間関係が挙げられます。どんなに周りから良好そうに見えても、陰口とかなんとなく漂う雰囲気、視線、そういった見えないプレッシャーを感じていたり、ほかの人に気づかれないような巧妙ないじめがあったりもします。
こういった人間関係のつらさや我慢出来ないつらい出来事があったらこのコラム法で書き出してみましょう。2・3日あけても強い感情が治まらないのですが、不思議なことに1か月もたつと、なぜこんなことで悩んでいたのかと思うこともあります。
また、見えないパワハラに合っていた場合は、それがそのまま証拠として残ります。自衛のためにもこの方法はとても使えると思います。

【書籍】

『心が晴れるノート』創元社
『子供と若者のための認知行動療法ワークブック』金剛出版

【サイト】

認知行動療法関連のホームページを利用します。他にコンピュータプログラムを用いた治療も一部で行われています。
「ここれん」で、5分間の心の練習ができます。認知行動療法を5分間で部分的に体験できます。

★ 『ここれん』
⇒ http://www.brainway.jp/kokoren/index.html

★ 認知行動療法センター
⇒ http://www.ncnp.go.jp/cbt/about.html

★ 厚生労働省 うつ病の認知療法・認知行動療法

⇒ http://www.mhlw.go.jp/bunya/shougaihoken/kokoro/dl/04.pdf

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